​News 2021.1.6 天満屋岡山店にて冬のリネンとウール展をいたします

<高城染工場 100年の歴史と藍>

高城染工は、瀬戸内海を臨む繊維の町・倉敷市児島にて、

100年以上続く小さな染色工場。時代の流れとともに変化しながら進んでまいりました。

 

世界最古の染料と呼ばれる藍。

その防虫・抗菌効果から、ミイラも藍染めの麻布を巻いていたといわれます。

そして、1500年以上前の飛鳥時代に中国から日本に伝わり、鎌倉時代より

「褐色(かちいろ)」=「勝色」として武将たちが身に付けた、勝利と守護の色。

江戸時代には人々の暮らしに深く根ざし、「ジャパン・ブルー」と呼ばれた、

凛とした深く美しい青。

そんな藍染めを、今も手作業で行い、独自の色を守り続けているのが、

高城染工4代目代表の角南浩彦です。

 

 

<高城染工の歴史と現在>

HISTORY

大正4年、初代である高城伊吉が学生服の糸染めや畳縁・地下足袋などの染めを始める。

養子として迎えられた2代目・角南愛太郎(祖父)が軍服などの染色を手掛け、

3代目となる角南浩平(父)がブラックジーンズの生地の黒染めを始める。

アパレル市場が、中国をはじめとする海外生産に傾倒し始めたころ、現在の代表である角南浩彦が、藍染めを手染めで行う下請け工場として営業を再稼動させる。

 

角南浩彦

1971(昭和46)年、倉敷市児島に生まれる。

群馬の美術短大を卒業後、東京の広告系デザイン事務所に入社するものの、バブル崩壊で会社が倒産。アパレルメーカーの知人を頼って、東京・高井戸の染色工場に転職。

おもに化学染料を扱っていたその工場で、染料の化学的知識や扱い方を身に付ける。

その後NYに渡り「ナショナルアカデミー・ミュージアム・アンド・スクール」にてドローイング、レディースパターンを学ぶ。

帰国後、時代の流れとともに衰退し、廃業しかけていた家業を手伝い始める。

その数年後、3代目だった父が、56歳という若さで他界。

44歳の時に、3代目代行を務めていた母から高城染工4代目のバトンを正式に託され、

下請け専業だった高城染工の経営を、オリジナルブランドメインにシフトさせる。

 

高城染工4代目代表の角南浩彦は、オーナー兼・デザイナー兼・染色職人。

高校時代の同級生であった真由子夫人は、結婚を機に始めた染色に加えて

ショップや展示会での接客、カタログモデル、卸先への営業及び出荷業務もこなします。

 

2005年から立ち上げたオリジナルブランド「blue in green」は、

空気に触れ酸化することによってしだいに緑から青へと移り変わる藍の特性と、

4代目夫妻が愛聴するマイルス・デイヴィスの曲名に由来。

ふたりは、大正時代の木組みが残る染め場で……時にはそんな音楽を聴きながら……

素材の持つ特性を考え、細かい部分にも染料がしっかりと染み込むよう、丁寧に大切に、

自分たちが作ったものを日々染めあげます。

高城染工の藍は、そんなふたりによって守り続けられています。

 

そして、できるだけ岡山県産の生地を使い、市井のなかにいるプロフェッショナルたちの力を借りながら……

地域でつながり、共有し合える。そんな循環できるものづくりをしています。

 

 

<藍への思い>

NYから帰国し、染色という家業の今後の方向性を模索していた2000年。

角南浩彦は、藍の産地であり藍染めの元となる「蒅(すくも)」作りの本場・徳島へ向かいます。

そこから、週末ごとに藍農家に住み込みながら、実に3年間……

藍の植え付けから刈り入れ、そして発酵を経て本藍染料が出来上がるまで(1年間で1クール)の現場に身を置き、自らの手で作業をこなします。

藍のルーツを探り、また自分自身と向き合う日々。

その実体験が、のちのオリジナルブランド「blue in green」立ち上げへの大きな礎となりました。

 

藍への憧れや思慕(懐古的な偏った価値観)だけでは続けてはいけない仕事であることを痛感したと同時に、天然藍と合成染料それぞれが持つ特性と魅力を理解しながら、それらを大切に洋服に落とし込んだものを作りたい……そんな構想が明確になります。

 

 

<blue in green  紺屋の挑戦>

そして生まれたのが、代々下請けの工場だった高城染工初となるオリジナルブランド、

「blue in green」。

その青は、さまざまな見聞と知識を深めた4代目自身が、

色落ちのしにくさ、発色の美しさ、生地との相性……等々を考慮しながら、

化学的根拠に基づいた独自の染料調合をもとに生み出す色。

そして、4代目夫妻の手によって、じっくりと手染めをすることで色をしっかりと定着させ、

仕上げに丹念な水洗いが施されています。

最初の数回の単独洗い以降、ゆっくりとした色の経年変化を楽しめ、

なおかつ色移りの心配はない……これは非常に稀なこと。

 

さらに、ファクトリーブランドならではのこだわりが、「染め直し」。

それは、新しい再生への前向きな選択肢。藍の色をもっと自由に楽しんでいただくための、

思索でもあるのです。

 

 

<生地×デザイン オリジナリティー溢れるものづくり>

高城染工blue in greenのもうひとつのこだわりは、

自身のパターンに合わせて4代目がセレクトする、生地のすばらしさ。

染めあがりの発色の美しさは、良質な素材があってこそ。

もともと抗菌作用を持つ藍の心地よさを、さらに引き立てています。

 

そして、その絶妙なパターンには、NYで学んだレディースのパターンが存分に活かされています。

「藍はもともと庶民に親しまれた野良着。普段に使えなければ意味がない」

という4代目の信条のもと、

丈夫で長く着られて、かろやかで動きやすく、年齢を問わないスタイル。

染め、素材、パターンとシルエット、そして着心地。

1枚1枚に、高城染工の今のこだわりが詰まっています。

 

 

<最後に>  

2020年。

新型コロナウィルスの蔓延は、私たちの意識や生活に大きく揺さぶりをかけ、

また多くの問いをもたらしました。

何を選択し、また、何を選択しないのか?

自分の暮らしを本当に豊かにするものとは、何なのか?

 

江戸~明治にかけて、それぞれの町や村には数多くの紺屋(染め屋)が存在しており、

昔の人々は、それを当たり前のように暮らしに取り入れ、生活を彩ってきました。

手を加えながら長く手元に置き、愛していけるものの価値。

サスティナブルな暮らしと衣料。

 

手仕事は、人々の暮らしの中で息づいてきた実直さと繊細さを内包しています。

手染めだからできること。

人の手のぬくもり、伝わる思いや情熱。

私たちは、そんなものを大切にし、さらに繋いでいきたいのです。

 

そして、藍とインディゴの持つ魅力や可能性を探りながら、

そのすばらしさを発信し続けていくために、日常に寄り添う服、流行に左右されることなく長く愛していただける服を作り続けていきたい。

そう考えています。

 

どうか、ひとりでも多くの皆さまにこの思いが伝わりますように。

私たちがこだわる、透明感のある青色を、実際に感じていただけますように

高城染工場

倉敷市児島下の町7-2-6

[ TEL ] 086-472-3105

[ FAX ] 086-472-4660

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